【技術メモ】モーター用インバーターの力率改善と最新PWM制御の実力とは

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elecnote

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はじめに

最近、メーカーのカタログを眺めていて「えっ、そんなことまでできるの?」と驚いたことがあります。
それは、モータードライブ用のインバーターの力率改善で力率1.0まで引き上げられる事実。しかも、無効電力の進みから遅れまで連続制御できるとのこと。技術の進化、恐るべしです。
イメージは、回転数制御用インバータ―にSTATCOM(無効電力制御装置)が合わさったようなものでしょうか。
「インバーター=モーターの回転数制御装置」の時代は過ぎたということかもしれません。

インバーターのPWM制御による力率制御の仕組み

インバーターはPWM(Pulse Width Modulation)制御によって、出力波形を自在に生成します。これを応用することで、電源側の無効電力を制御し、力率1.0(100%)運転を実現することが可能とのことです。

↑PWM制御 イメージ図

たとえば、TMEIC社のMVインバーター「TMdrive-MVe2」では、PWMコンバータを用いて高調波低減と力率制御を両立。モーターの運転状態に関係なく、電力品質を安定させることができます。

製品カタログ | 株式会社TMEIC

電力用コンデンサは不要になる?

従来は、力率改善のために電力用コンデンサを設置するのが一般的でした。
しかし、インバーターが力率を検知して無効電力を補償できることで、補助機器の削減設備の簡素化が可能になります。実際、上記インバーターは最大70%まで無効電力補償が可能であり、契約力率の達成にも貢献します。

↓コンデンサで力率制御する場合のイメージ図

↓インバーターで力率制御する場合のイメージ図

設備設計・電力契約への影響

この機能を活用することで、以下のようなメリットが得られます:

  • 電力会社との契約基本料金の削減
  • コンデンサレス設計による省スペース化

設備設計時には「力率制御機能付きインバーターかどうか」を確認することで、電力コストの最適化保守性の向上につながります。

まとめ:インバーターは電力品質の主役へ

インバーターはもはや“モーター制御装置”にとどまりません。
力率改善機能+無効電力制御付きインバーターは、電力品質の維持・改善に貢献する重要な役割を担っています。カタログを見て「そんなことまでできるの?」と驚いた技術者は、きっと私だけではないはずです。

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