差動リレーの基礎と誤動作防止(電験1種R7電力問6解説)

この記事を書いたひと
elecnote

20代プラントエンジニア
技術職として働く日々の中で、試験勉強・仕事の悩み・暮らしの選択など、
「電気設計職の女子って、こんなふうに考えてるんだ」
そんなリアルを記録しています。

elecnoteをフォローする
筆者
筆者

今回は、差動リレーと比率差動リレーの仕組み、そして誤動作の要因について解説します。最近の電験でも頻出の重要テーマです!

差動リレーとは?

差動リレーは、変圧器や母線などの被保護設備の両端に設置したCT(電流変成器)の電流差を利用して、内部故障を検出する保護方式です。

  • 内部故障 → CT一次電流が大きく異なり、差動電流が生じてリレーが動作
  • 外部故障 → 通過電流のためCT出力はほぼ等しく、差動電流は小さい

基本式は以下の通りです。

$$
|i_1 – i_2| > K
$$

ここで K は動作設定値です。下図は特性図で\(i_1)\と\(i_2)\の差が大きくなると動作することを表しています。

差動リレーとCT不平衡

ただし実際の差動リレーでは、CTの特性差や飽和、回路構成の違いにより電流が完全一致することはありません。そのため、単純な差電流比較だけでは誤動作が起こります。

CT不平衡の主な要因は以下になります。

  1. CTの特性差
    → 「同じCTでも感度が微妙にズレて、出力が揃わない」
  2. 二次回路インピーダンスの不平衡
    → 「配線の抵抗や長さの違いで、電流が均等に流れない」
  3. 変圧器タップ切替による不一致
    → 「タップ位置が変わると、CTの比率が合わなくなる」
  4. 外部故障時の高電流によるCT部分飽和
    → 「大電流でCTが片側だけ潰れて、出力が歪む」

これらにより誤差電流が発生し、内部故障でなくても差動電流が流れる場合があります。

誤差電流を抑制する「比率制御」

筆者
筆者

差動リレーはCTの特性によっては誤動作する可能性があるのか。。
その解決策は何だろう?

実際はそのような誤動作をなくすためには、差動リレーは比率要素(RC)を付加し、外部故障で大電流が流れた場合でも誤動作しにくくしています。これを比率差動リレーといいます。

ここで利用される量が 抑制電流(Ir) です。
端子電流の大きさを基準に差動動作値を変化させ、Irが大きいほど動作限界電流を大きく設定します。これにより外部故障時の誤動作を防ぎます。

比率差動リレーの動作式は抑制電流(Ir)差動電流(Id)を用いて以下の式になります。

$$
|i_r| -k|i_d| > K
$$

これを表すと下図のようになります。K₀は固定分の誤差を加味して設定されます。抑制電流(Ir)はスカラ和電流(各端子電流の実効値の総和)あるいは最大スカラ和(各端子電流の実効値の最大)が用いられ、kは抑制電流の種類によって決まります。

励磁突入電流との誤動作対策

変圧器投入時に発生する励磁突入電流は、定格の数倍に達し内部故障電流と見分けがつきにくいため、差動リレーの誤動作要因となります。これを防ぐための対策について説明します。

防止策① 電圧回復後の感度調整

事故で系統電圧が低下し、復旧後に突入電流が発生するケースがあります。
このとき、電圧回復後一定時間は差動リレーの感度を鈍くすることで、誤動作を防止できます。
簡単に言えば、「しばらく様子を見る」仕組みです。


防止策② 第2高調波抑制機能

励磁突入電流には特徴があります。それは第2高調波成分が多く含まれること。
差動リレーはこの成分を検出し、一定割合以上なら突入電流と判断して動作をブロックします。
この機能により、故障電流と突入電流をスマートに見分けられるのです。

まとめ

・差動リレーはCT電流差で内部故障を検出する保護方式
・CT不平衡(特性差・回路差・飽和など)で誤差電流が発生
・比率差動リレーで抑制電流を利用し、外部故障時の誤動作を防止
・励磁突入電流対策
 ① 電圧回復後の感度調整(一定時間動作を遅延)
 ② 第2高調波検出で突入電流を識別

コメント

タイトルとURLをコピーしました